予材管理とは? ……案件管理でも予実管理・先行管理でもない、新しい営業管理の考え方
「予算を達成させる営業マネジメント【予材管理】の勧め」
【時代が求めた「営業プロセス管理」】
経済のグローバル化、公共事業予算の落ち込み、ライフスタイルの多様化等、急速な環境変化によって激しい企業間競争が続いています。
そしてこれらの環境変化に引きずられるようにして受注を減らしている企業が後を絶ちません。
受注が減れば売上が落ち、財務バランスが不健全に陥ります。そのため受注を減らした企業の多くは「営業改革」をメインテーマに掲げて業務改善に取り組むことになります。商品やビジネスモデルの見直しには時間がかかり、特効薬としては期待できないからです。
営業を改革するうえで取り組むべき課題は多々あります。特に複数の営業担当者を抱えている企業にとっては、彼らに対してどう有効なマネジメントをすべきかで頭を悩ましている経営者が多いのではないでしょうか。
このマネジメントの切り札として10年以上も前から注目されているものに「プロセス管理」と呼ばれる手法があります。
個人の属人的な能力に結果が左右されがちな営業を、組織全体でプロセス管理することによって営業力を底上げするという合理的な手法です。IT技術の発展も手伝ってか多くの企業が採用し、現在に至っています。
中小企業の営業組織はプロ中のプロを集めたプロ野球チームとは異なります。
ある程度自主性を重んじても結果を出すスター選手ばかりが揃っているわけではありません。また優良な選手をFAで獲得するように、トップセールスと呼ばれる営業をスカウトできるほど財力のある企業も多くはありません。
そういう意味で、「プロセス管理」という手法は理にかなっていると言えます。
【「プロセス管理」の功罪】
ところが昨今、この「営業プロセス管理」の手法を採用し、1年、2年と取り組んできた企業の経営者から不満の声が上がり始めています。それは、「どんなに営業のプロセスを管理しても結果が出ない」というものです。
経営者の関心のほとんどはやはり結果です。
プロセスを管理しようが、結果だけを管理しようが、期首に立てた予算計画が絵に描いた餅になってしまったのかどうかに最大の関心を寄せています。
そのため「営業プロセス管理」というマネジメント手法を取り入れ、数年間運用しても成果が出ない場合は、選択した手法に問題があったのではないかと疑い始めます。そしてこのような企業が次にとる行動は以下のいずれかのケースが多いのです。
・営業個人の意識改革を促す
・できる営業を増やそうとする
・インセンティブ制度導入など、報酬体系を見直す
・新事業を模索する
・WEBの活用等、受注構造を変革する……等
共通しているのは、営業マネジメント手法にメスを入れないことです。
営業担当者には個人の能力開発を求め、足りない部分は他をあたるという消極的なものです。プロ野球に例えれば、成績が悪い責任をフロントと選手個人に押し付け、監督とコーチ陣に非はないといわんばかりの態度です。
新商品や新事業を模索しても、WEBで顧客を惹きつけても、売るのは営業です。
営業の動きを簡素化して誰でも売れるようにするのであれば、企業が正社員の営業担当者を抱え続ける理由がなくなります。
繰り返しになりますが、優れた能力を身につけた人財ばかりを採用することは極めて困難です。
営業プロセスの中の、どの場面でも適切に対応できるオールラウンドプレイヤーはなかなかいませんし、そういう人財を育てるためには時間も労力も必要です。「営業プロセス管理」というのは理にかなったマネジメント手法なのです。
では、何が間違っていたのでしょうか?
それを述べる前に、基本に立ち返り、そもそも営業の目的とは何なのか、まずはこのことについて整理します。
【営業マネジメントの目的を明確に!】
「営業の仕事とは何か?」と問われて正確に答えられない営業担当者、営業マネージャが多いのには驚かされます。経営者であればほとんどのケース、正答を言い当てることができるのに、です。
では営業の仕事とは何か? ――それは、「目標予算を達成すること」です。
コーポレートブランド、プロモーション、人的ネットワーク等を活用して、予算を達成させるために取り扱い商品を販売するのが営業の仕事です。
営業担当者のほとんどは「商品を販売し、結果的に予算を達成させる」という発想をしますが、この発想自体が予算達成を妨げる要因となっています。ではどのように考えれはよいのでしょうか?
正解はこうです。「予算を達成させる分だけ商品を販売する」もしくは「予算を達成させる分だけの受注を獲得する」です。
こう記すと、「顧客無視のごり押し営業」を奨励しているかのように聞こえるかもしれません。しかし、そうではありません。
すべての企業は決算期を向かえると、一定期間の成果を確認します。それが決算処理です。
決算処理によって企業の状態が健全であるかどうか、市場に認められているかどうかを推し量ります。
企業が安定的に存続するために健全な財務バランスを保つことは当然の責務であり、その財務バランスを維持するために期毎の予算計画が立てられます。
したがって予算達成のための商品開発、販促/営業活動をすることに罪悪感を抱く必要はありません。市場から必要だと認知されているから企業が存続するのであり、そのことにプライドを持たなくてはならないのです。
予算未達成が恒常化している営業担当者の言い訳はいつも決まっています。商材の乏しい魅力や顧客対応の忙しさを、成績の伸びない理由にしてしまうのです。「予算を達成させる分だけ商品を販売する」という発想を持っていれば、このような言い訳は出てきません。
【予算から逆算した「営業プロセス管理」】
話を「営業プロセス管理」に戻します。プロセスを管理しただけでは多くの企業で結果を残すことができていません。
しかしそれでもプロセス管理は重要なのです。ではなぜ結果が出なかったのか。それは簡単です。「営業プロセス管理」という慣れないマネジメント手法を導入する際、その「マネジメント手法のプロセス」に大きな問題があったからです。
前述した通り、予算を達成させることのできる営業プロセスとは何なのかを時間をかけて探求するのです。
それは後述する手順を踏むことによって表現できます。1)予算と見込み額とのギャップの計算 2)ギャップを埋める営業材料(案件・顧客等)の仕込み、この2つです。
細かい手順は企業によって異なるでしょうが、得意先がある程度決まっているルートセールスをしている営業の例を以下に記します。
1)予算と見込み額とのギャップの計算
・顧客・商材ごとに、過去3年程度の実績を洗い出す
・顧客・商材ごとに、今期の見込み額を算出する
・予算と見込み額の差分を算出する
・実績のシミュレーションと営業の情報をもとに、定期的に見直す
※ 留意点: 精緻な数値を出すことが目的ではなく、あくまでも目安である
2)ギャップを埋める営業材料(案件・顧客等)の仕込み
・顧客/商材/プロモーションの軸で営業材料を仕込む
・半年/1年間の営業材料をすべてオープンにし組織内で共有する
・1)で算出したギャップを遥かに上回る営業材料を仕込む
この手順を踏んだうえで、すべての営業材料をプロセス管理すると確実に予算は達成します。
ただし重要なポイントがあります。それは「ギャップを遥かに上回る営業材料」がどれぐらいなのか、という点です。
これは企業によりますが、よほど差別化要因が明確な商材を取り扱っていない限り、ギャップの2倍や3倍の量では足りません。
私どもは、予算全体の2倍以上の材料を仕込むことを推奨しています。
ひと月、1千万のノルマを課せられている営業であれば2千万、5千万のノルマであれば1億の材料を仕込むのです。
これだけの量の材料を仕込むためには、営業は取り扱い商品についてはもちろんのこと、顧客のこと、マーケットのこと、そして異業種のことに対しても貪欲に知ろうとします。これが営業個人の意識改革へとつながります。
また、個人レベルで営業材料を仕込むことができなければ先輩社員がアドバイスをします。これが真のOJTです。そして予算達成のための営業材料が、組織全体で知恵を出しても足りない場合は、予算計画自体がマーケットの要望と乖離していると認識して修正するのです。
【予算を達成させる組織風土】
予算計画を修正するということは勇気の要ることです。経営者からすれば簡単に容認できないことでしょう。
しかしながら見直すことなく未達成の状態を作り出すことは極力避けなければなりません。「予算未達成」の状態でも許されるという組織風土が根付くと、閉塞感からなかなか脱却できなくなります。
ただ当然のことながら予算計画を見直した場合は、組織全体で協力し合い、全力で100%達成しにいかなければなりません。そのために営業は常日頃からアンテナを張って行動し、頻繁に顧客とコミュニケーションをとって営業材料を仕込むのです。
そして仕込んだ材料を計画的に営業しているかどうかをチェックするために組織全体でプロセス管理をするのです。あるべき姿と現実とのギャップを埋める活動を見極め、プロセス管理することにより、目標に到達させることができるのです。
【ご参考】 → 予材管理を実践レベルにまで落とし込んだマネジメント手法、仕組み、会議の進め方まで解説しているのはコチラ























